医療法は改正が多く、古い条文から新しい条文へとたどることが年が経過するごとにより複雑になっていると感じます。
以前のコラムで2以上の都道府県で病院等を開設する医療法人(いわゆる広域医療法人)の監督等の権限が、厚生労働大臣から都道府県知事へ移譲されたことを説明させていただきました。
この変更に関する法改正の流れについて、メディコプラスの備忘録として簡単にまとめておきたいと思います。
Ⅰ.地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(※第4次一括法)
(平成26年法律第51号)
平成26年6月4日公布 平成27年4月1日施行
上記Ⅰ.の法律の第17条で、次のように定められました。
「医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第68条の2(中略)を削る。」
この医療法第68条の2の条文において、
「2以上の都道府県の区域において病院、診療所等を開設する医療法人に係るこの章の規定の適用については
、第44条第1項中「都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」とする(省略有)。」旨、規定されています。
医療法第68条の2が削られたことによって、厚労省管轄の医療法人がなくなったというわけです。
この改正後、間もなくなのですが、
Ⅱ.医療法の一部を改正する法律(平成27年9月28日法律第74号)
が公布されました。
上記Ⅱ.の法律により、
医療法第44条第1項は
旧「医療法人は、都道府県知事の認可を受けなければ、これを設立することができない。」
から
新「医療法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ、これを設立することができない(省略有)。」
以上のように変わりました。
厚労省所管がなくなったので、病院が2以上の都道府県にある医療法人を管轄する都道府県はどこか?
東京都か?神奈川県か?それとも埼玉県か?と混乱することなく管轄が明確になりました。
つまり、上記Ⅰ.の法改正により、医療法第68条の2が改正となったため、他にも改正が必要となった部分ができたので、上記Ⅱ.の法律により、医療法44条第1項を変更することにしたものと考えます。