医療法人は、平成29年4月2日以後に開始する会計年度に係る事業報告等を提出する場合、関係事業者との取引の状況に関する報告書を作成し、都道府県知事等に届け出ることとされました。

 

1 関係事業者について(法第51条第1項関係)

 

法第51条第1項に定める関係事業者とは、当該医療法人と(2)に掲げる取引を行う場合における(1)に掲げる者をいうこと。

 

(1) (2)に掲げる取引を行う者

 

① 当該医療法人の役員又はその近親者(配偶者又は二親等内の親族)

② 当該医療法人の役員又はその近親者が代表者である法人

③ 当該医療法人の役員又はその近親者が株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている法人

④ 他の法人の役員が当該医療法人の社員総会、評議員会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人

⑤ ③の法人の役員が他の法人(当該医療法人を除く。)の株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人

 

(2) 当該医療法人と行う取引

 

① 事業収益又は事業費用の額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業収益の総額(本来業務事業収益、附帯業務事業収益及び収益業務事業収益の総額)又は事業費用の総額(本来業務事業費用、附帯業務事業費用及び収益業務事業費用の総額)の10パーセント以上を占める取引

② 事業外収益又は事業外費用の額が、1千万以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業外収益又は事業外費用の総額の10パーセント以上を占める取引

③ 特別利益又は特別損失の額が、1千万円以上である取引

④ 資産又は負債の総額が、当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占め、かつ1千万円を超える残高になる取引

⑤ 資金貸借、有形固定資産及び有価証券の売買その他の取引の総額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引

⑥ 事業の譲受又は譲渡の場合、資産又は負債の総額のいずれか大きい額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引

 

2 関係事業者との取引に関する報告について

 

(1) 報告内容について

 

関係事業者との取引に関する報告については、次に掲げる事項を関係事業者ごとに記載しなければならない。

① 当該関係事業者が法人の場合には、その名称、所在地、直近の会計期末における総資産額及び事業の内容

② 当該関係事業者が個人の場合には、その氏名及び職業

③ 当該医療法人と関係事業者との関係

④ 取引の内容

⑤ 取引の種類別の取引金額

⑥ 取引条件及び取引条件の決定方針

⑦ 取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高

⑧ 取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容

ただし、関係事業者との間の取引のうち、次に定める取引については、報告を要しない。

イ 一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引

ロ 役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い

「医療法人における事業報告書等の様式について」(平成19年3月30日医政指発第0330003号)において示されている様式に沿って報告すること。

なお、会計基準を適用している場合については、「医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針」(平成28年4月20日医政発0420第5号)の関係事業者に関する注記例と同一の様式であることを申し添える。

 

(2) 報告期限について

 

関係事業者との取引の状況に関する報告書は法第51条で定める事業報告書等に含まれることから、会計年度終了後3月以内に所管の都道府県知事に届け出ること。

 

(厚生労働省医政局長通知 平成28年4月20日医政発0420第7号 より抜粋)